会長あいさつ




 教職大学院は、平成20年度に19大学でスタートし、教員養成高度化の先導的モデルであるとされてきました。設置大学は段階を経て増加し、平成29年度には新たに8大学設置されて合計53大学となり、ほぼ全ての都道府県に設置されました。これも一重に教職大学院の量的拡大に向けての関係各位のご協力のおかげです。

 今後、まず教職大学院が注視すべきことは、各都道府県と政令指定都市に必置される「教員育成協議会」です。教員育成協議会は、採用と研修の責任者である教育委員会と、養成と研修に協力している大学が連携し、教員の養成、採用、研修の連関性・一体性を高めることを意図した仕組みといえます。そのため「教員育成指標」を作成することになっています。教員育成協議会において中心的役割を果たすのが教職大学院であるされていますので、各地域の教育委員会と教職大学院とは益々、連携を強めることになります。

 教職大学院は今後ますます質的に充実し、本来のミッションを果たす必要があります。そのために取り組むべき課題を教育と研究に分けて二つ挙げます。

 教育の面では、教育成果の可視化です。高い評価を受けている教職大学院の成果を可視化し、エビデンスとして客観的に明確に示すことです。平成28年度の研究大会でも、各大学が特色のある質の高い教育活動を紹介していました。教職大学院関係者にとっては成果が上がっていることは、確かな実感として受け取ることができます。しかし、未だなお、教職大学院がどんな役割を果たしているのか、成果が見えないと外部の識者から言われることがあります。教員養成評価機構が行っている認証評価においても、審査する側になって現地を訪問し、インタビューを行うことで初めて見えてくる優れた取り組みがあります。教育成果の可視化という点では、教職大学院修了者の現場における活躍状況を可視化する必要があります。教職大学院で学んだことが、どのように現場で貢献されているのかは、外部からは見えにくいものです。教職大学院協会は、これらの優れた取り組み・グッドプラクティスをウェブページ上で効果的に発信することが求められています。

 次に研究の面では、実践研究成果の公開です。将来的には新たな学会を創設する意気込みで実践論文の質を高めることが必要です。学校現場の関係者と教職大学院の教員との共同研究の成果をどのように、良質の論文とまとめ上げるかは、現時点では大きなハードルがありますが、まさに越えなければならないハードルです。報告書程度のものでは、いつまで経っても評価されません。一般性・普遍性をもつ論文に仕上げていく必要があります。

 教職大学院の質の充実という点では、まず実践性かつ専門性の高い教科教育分野をどのような形で教職大学院に位置づけるかとういう問題があります。従来、修士課程における教科教育は、ややもするとアカデミックに偏りすぎた感が否めないと言われます。現場貢献のために、小・中・高で教える教科の指導内容については、柔軟にアカデミックな側面を実践性に取り入れていく工夫が、以前に増して重要になるはずです。それによって教科指導法もさらにブラッシュアップできるのではないでしょうか。教職大学院の学生収容定数の大きないくつかの大学でも、すでに、どのように教科教育分野を取り入れるかについて検討が開始されています。今後の展開が楽しみです。



会長のプロフィールはこちら